1. 何をしているか
入力した日本語テキストを MeCab と UniDic で短単位に解析し、その仮名形をもとに
分かち書きしたローマ字に変換します。助詞・助動詞の判別、接頭辞・接尾辞の判別、固有名詞の判別など、
分かち書きに必要な文法情報を、形態素解析の結果から自動で得ているのが特徴です。
役割は次のように分かれています。
- 読みは UniDic の解析結果に従います。ツール側で読みを決め打ちすることは、
原則としてしません。
- つづり方(かな→アルファベットの対応)は、入力画面で二つの典拠から選べます。
- 分かち書きは、どちらのつづり方を選んでも ALA-LC §6 に従います。
2. 二つのつづり方
両者は大部分で一致しますが、下記の点が異なります。
3. 二つのつづり方の違い
| 項目 |
ALA-LC
2022 |
2025年12月 閣議告示 |
| 促音+チ行 |
t を足す 密着 mitchaku |
c を重ねる(添え書き2) 日直 nicchoku、抹茶 maccha |
| 長音の書き方 |
マクロンのみ(§5.1) 東北 Tōhoku |
マクロン、または母音字を並べる(添え書き3) Tōhoku / Touhoku |
| 長音でない母音の連続 |
記号を入れない(§2.5.5) 小唄 kouta、本居 motoori |
「'」で切れ目を示せる(添え書き4) ko'uta、moto'ori |
外来語だけに使う音 (ファ・ティ・ヴ等) |
対応表Bで規定 |
対象外(前書き4) → 本ツールは対応表Bで代用 |
| 分かち書き |
詳細な規定あり(§6) |
ほぼ規定なし → 本ツールは常に ALA-LC §6 |
告示は外来語にのみ用いる音を対象外としている(前書き4)ため、それらは告示を選んだ場合も
ALA-LC の対応表Bで変換します。また告示には分かち書きの規定がほとんどない(添え書き5で
「-」を用いることができる、という程度)ため、分かち書きは常に ALA-LC §6 に従います。
4. 両者で一致する点
- 撥音 ン は常に n。新橋 Shinbashi、天ぷら tenpura、欄間 ranma のように m にはしません。
- 助詞の は・へ・を は wa・e・o と書きます。
- シ shi、チ chi、ツ tsu、フ fu、ジ ji。ヲ は o。ヂ・ヅ は ji・zu。
- 長い i は ii と書きます(新潟 Niigata、兄さん niisan)。
- えい は ei と書きます(平成 Heisei、時計台 tokeidai、経済的 keizaiteki、英語 Eigo)。
- ん のあとに母音か y が続くときは「'」を入れます(翻訳 hon'yaku、単位 tan'i)。
- 固有名詞と文頭の語は大文字にします。
5. 変換の考え方
-
ローマ字の綴りは UniDic の仮名形に従います。発音形は、
母音の連続が長音として融合しているかどうかの判定にだけ使います。このため 労働 は rōdō に、
子牛 は koushi(告示なら ko'ushi)になります。発音形をそのまま綴りに使うと 子牛 も
kōshi になってしまいます。
-
発音形が「セージ」でも 政治 は seiji と綴ります。ALA-LC の掲げる例(経済的 keizaiteki、
英語 Eigo)も、告示の掲げる例(平成 Heisei、時計台 tokeidai)も、えい を ei としているためです。
-
仮名形と発音形が長音の有無以上に食い違う場合は、現代読みである発音形を基礎にします
(てふてふ chōchō、あふ坂 Ōsaka)。ALA-LC §2.3.2 が歴史的仮名遣いに現代読みを用いる
としているためです。
-
促音は子音を重ねます。語末が促音になる短単位(帰っ/て)は、次の語と続けて書くときに
子音を補います(kaette)。
6. 分かち書きの考え方
UniDic の短単位境界を出発点に、ALA-LC §6 の規則で結合・分離・ハイフン付けを判定します。
- 助詞は前後と分けます(§6.8.4)。幸福への道 kōfuku e no michi。
- 助動詞・接尾辞・接頭辞は前後の語と結合します(§6.5、§6.6、§6.8.1.1)。
支配する shihaisuru、経済的 keizaiteki、新幹線 shinkansen。
- て形に続く補助動詞、可能・敬語の補助動詞は分けます(§6.8.1.2、§6.8.1.3)。
生きていた ikite ita、我慢出来ない gaman dekinai。
- 行政区画、駅・港、人名の敬称、固有名詞に付く単字(的・型・式など)はハイフンでつなぎます
(§6.9.2.3.2、§6.9.5、§6.10.1、§6.10.6)。東京都 Tōkyō-to、井上さん Inoue-san、
日本的 Nihon-teki。
- 単字の要素が前後に付く場合は一語にします(§6.2.3、§6.6.1、§6.4.1.1.1)。
日本語 Nihongo、核戦争 kakusensō、都道府県 todōfuken。ただし
編・抄・考・展 は分けます(§6.6.2.1)。君が代考 Kimigayo kō。
- 修飾語が仮名や訓読みの場合は分けます(§6.3.1、§6.4.1.1.2)。
米騒動 kome sōdō、水資源 mizu shigen、春夏秋冬 haru natsu aki fuyu。
音読みか訓読みかで規則が変わる箇所(§6.2.3/§6.3.1、§6.4.1.1.1/§6.4.1.1.2)は、
UniDic の語種(漢・和・外)で判定しています。
7. 限界と注意
-
読みの選択。同じ表記に複数の読みがある語は、UniDic が選んだ読みに従います。
描ける(かける/えがける)、日本(ニホン/ニッポン)、兄妹(あにいもうと/きょうだい)などは
文脈によって正解が変わります。読みが変われば分かち書きも変わることがあります。
-
語の切れ目。ALA-LC のいう「語」は辞書の見出し相当で、UniDic の短単位より
大きいことがあります。慣用的に一語とされる複合語が分かれてしまう場合があります。
-
固有名詞。人名・地名の読みは解析辞書に依存します。慣用のローマ字表記
(Tokyo、judo など、国際的に広く用いられる形)は再現しません。
-
漢数字。アラビア数字に変換するかどうかは文脈によります(§7.2.1 は
二十四の瞳 Nijūshi no hitomi のように変換しない例を挙げています)。入力画面の
オプションで切り替えられます。
以上の理由から、出力は必ず確認してください。入力画面で
「短単位ごとの内訳も表示する」を選ぶと、各語がどの規則で結合・分離されたかを確認できます。